農業は今、深刻な環境破壊を引き起こしている。深刻な環境破壊は人間の健康も破壊するから実は大問題である。ではなぜ農業が深刻な環境破壊を引き起こすのか。まずは先進国の場合である。先進国では農業は「集約的」に行われる。「集約的農業」とは一つの場所で農業資材、つまり農薬や肥料などを大量投入して大量に生産を行うというやり方である。穀物だったら十分な水を引き農地に肥料や農薬をどんどん投入して、そしてたくさん作...
第1章、農業と環境の事情記事一覧
先進国の農業は「集約的農業」だ。集約的農業というのは、肥料や農薬をたくさん使って、一つの農地からたくさんの作物を大量生産するというやり方だ。昭和時代には朝日農業賞という、朝日新聞主催の表彰があって、一時期、稲作の反収競争みたいなのもやっていたように思う。稲作の場合、途上国では1ヘクタール当たり2トンくらいの収量になるのだが、100アール当たり600キロ前後(ヘクタール当たり6トン)も収穫したような...
ヨーロッパで赤ん坊がバタバタと倒れた原因は、地下水の硝酸態窒素にあった。飲み水に硝酸態窒素が混入したために、赤ん坊が青くなって死んだりしたわけだ。ブルーベビー症という別名もあるが硝酸態窒素の濃度が高い水を飲むと、体内のあちこちが酸欠状態になって紫色になる。硝酸態窒素が体内で亜硝酸などに変わり、そのせいで身体の臓器が傷み、死に至るケースもあるという。大人の場合はそれほど問題はない。というのも硝酸態窒...
ヨーロッパの地下水を汚染したのは、牛や豚の糞尿や窒素肥料であった。農産物の栽培に使われる三大肥料は、窒素、リン酸、カリ(カリウム)の3つだが収量を増やすために農家はこれをドンドン農地にばらまいた。また畜産業などでは牛や豚を早く太らせるために濃厚飼料を食わせて肥育(ひいく)を行うのだが、それも河川や地下水汚染につながった。肥育とは栄養価の高いエサを与えて太らせることで、濃厚飼料とはトウモロコシなどの...
先進国の農業とは集約的農業だった。集約的農業とは、多収穫品種と大量の資材つまり肥料や農薬を使って一つの土地からジャンジャン作物を収穫する。家畜を舎飼いで飼い、穀物などの濃厚飼料を与えてジャンジャン肉やタマゴや乳製品などを大量生産する。このような農業は、確かに先進国の食糧供給を安定化させたが、その一方で農薬や殺虫剤などの過剰使用によって農地の地力を大きく損なったり、周辺の生態系を大きく狂わせたりした...
伝統的に焼き畑農業を行っていたインドネシア。ところがそこに穀物生産がもたらされた。穀物を食うのが「文明」だとばかりに、穀物生産を全土でやり始めた。先進国などの諸外国も様々な思惑で、それらを支援した。日本なども戦前から高度な水田耕作技術を指導し、稲作で食糧を自給できるようにと支援した。「グリーン・レボリューション(緑の革命)」なんて格好良い言葉を使って大々的に農地を開発し、BC技術(バイオ・ケミカル...
インドネシアの農業生産を増やした「緑の革命(グリーン・レボリューション)」とは国連や先進国が主導して、途上国の農業生産力や自給率をアップさせようと言う試みであった。食糧自給率が上がれば人々は穏やかになり、局地的な紛争や戦争も収まるだろう。途上国の衛生状態や健康状態も改善し、病気も減るだろう…そんな感じのプロジェクトであった。だがその内容はただ先進国の農業技術を途上国に移植し、途上国でも先進国同様「...
ナイル川の氾濫に数千年も悩まされ続けていたエジプトの人々。ナイル川にアスワンダムが完成すると、氾濫を気にせず農業生産も増えると思っていた。ところがちゃんとかんがい設備を整えて農業生産を始めたというのに、何だかだんだん農作物の生育が悪くなっていくのであった。しかもなんだかワケの分からない病気が流行しだし、激しい豪雨も時折降るようになった。ナイル川下流で農業生産が減った理由の第一は、「塩害」というもの...
ナイル川のアスワンダム建設、損得勘定はかなり微妙だ。アスワンダムには実は2つあって最初に造られたのがナイル川下流に造られたアスワンダム(1901年完成)。現在はアスワン・ロウダムと呼ばれている。それからロウダムの上流6キロくらいの所に造られているのがアスワン・ハイダム(1970年)で、ナイル川の氾濫はこの二つのダムによって克服されたことになる。アスワンダムの建設によって確かにナイル川の氾濫はなくな...
ヨーロッパ式農法を熱帯地域に導入する際、最初に問題になるのが塩害だ。ナイル川の氾濫を防止するために造られたアスワンダム、アスワンハイダムは、氾濫こそ押さえ込むことに成功したが、その結果、下流の農地で塩害を発生させた。塩害とは簡単に言うと、地中にあるナトリウムが表土まで上がってきてしまい、それが原因で作物の栽培が難しくなると言うことだ。熱帯や亜熱帯では日差しが強いので、表土がすぐに乾いてしまい、地中...
途上国の農業は大抵の場合、粗放的(そほうてき)農業である。粗放的農業というのは簡単に言うと、殆ど世話を焼かないような農法で、、稲作でも直播きで種をまいたりする。肥料も殆ど使わないから収穫量は少ないし、農薬も使わないから品質も良くない事が多い。明治維新時に日本に招かれた農学者フェスカなどは、日本の農業を「浅耕・少肥・排水不良」と称したそうだが当時の日本の農業は、土地もしっかり耕していない農地が多く、...
作物を同じ土地で作り続けることは難しい。なぜかというと連作障害が発生するからだ。米や麦・トウモロコシなどの穀物などを栽培すると、その作物は土地のミネラルを吸収して育つ。逆に言うと土地から大量にミネラルを奪う。そうなると次のシーズンにはもう栽培しても育たなくなる。米みたいに毎年取れる穀物は例外的な作物で、普通は3年も同じ作物を栽培すると、それ以降はもう収穫できなくなる。なぜなら土地に、栽培できるほど...
フロンティア農業というのは、森林を伐採して農地を拡げる農法だ。作物の出来が悪くなってくると、周囲の森林を伐採してそこで農業をやる。途上国の場合、先進国と違ってまだまだ農地にできる森林がある。その一方で肥料が少ないので、新しい土地をドンドン開発していくことによって、農業生産を増やそうとするわけだ。肥料はない、森林はある→じゃあ、森林を焼いて農地にしよう。こういう発想らしい。いわば焼き畑式農業の拡大版...
トウモロコシという作物が伝わったために、清代中国では人口が2倍になるほど繁栄した。ところがトウモロコシ栽培は傾斜地や山間地で行われたため貴重な環境資源である森林はドンドン伐採され、トウモロコシ畑になった。戦後のインドネシアでも、稲作が広まった結果、焼き畑農法が出来た豊かな森林が伐採され水田に変えられてしまった。しかし山奥の水源地の森林までなぎ倒され、傾斜地にいい加減に切り開かれた畠では土砂が崩れて...





